相手の気持ちに寄り添う、ミーティングの勘所
ディレクターという立場上、クライアントや社内でのミーティングにおいて、相手から説明を受けたり、指示を仰ぐ場面が多々あります。
一方、制作スタッフへ適切な指示を出しながら、スタッフからの意見の吸い上げ、時には相談窓口になることもあります。
説明の場という座組の場合、そのミーティングは話し手->聞き手の一方通行というバイアスが生まれがちです。
その流れに沿って、相手の話を一方的に聞き、「何か質問はありますか?」を経て、時間がきたら終わりというのが一般的なミーティングの形でしょう。
それ自体は否定するものではないですが、自分が聞き手の立場であった場合、少し、話し手の気持ちを考える癖をつけてほしいものです。
話し手が本当に”話したいこと”は何か
話し手の多くはミーティングの前の準備として
・ヌケモレなく話さないといけない
・自分が話したいことはコレというアジェンダを考えてきている
・会話ではなく通達がメイン
・相手は自分のことを理解しているはずという前提で話だしてしまう
これらのバイアスを基にしていることがあります。
仕事のミーティングにおいて聞き手として聞くべきは「話し手(クライアント)の目的/目標は何か」が、重要です。
アジェンダとして挙がる項目は、バイアスを基にしたそれら話し手のやりたいことの断片であることが多く、聞くには聞いたが、結局何がしたいのか理解ができておらず、そこに解釈の齟齬が生まれてしまっているのではと思うことが経験上よくあります。
聞き手がやりがちなこと
幼少の頃から人は「相手の話は最後まで聞く」ということを教わります。
その中で相手の話(複数での座談会含む)を遮ってまで自分の話をする”おしゃクソ”なことをしてしまうのは論外ですが、よくやってしまいがちなのは
・相手の話の後に知見のあるキーワードから「ちなみに」的に話を足してしまう
・理解を示すため故に、相手の話をオウム返し的に再度繰り返してしまう
・結論や解決策を急いでしまう
など。
会話が迷走し「結局、何の話でしたっけ?」となってしまったり、「ええ、最初にそう言いましたよね?」となり、なんとなくその場の会話の濃度的なものが薄まった印象になってしまいます。
会話の主役とは
関西方面の方ならともかく、全ての話にオチをつけろということではないですが、会話の構成は理想論、「何がどうしてどうなった(どう思った)」を骨組みに、相手にその裏側にある意図や目的、要望を伝えるのがメインになります。
聞き手としての本来の役割はそれらを踏まえ、聞き手だからこそ、その会話をドライブ(跳ね)させるために質問力を意識することが大事です。
・具体的に言い換えると、どういうことなのか(明確化)
・「それって例えば○○ですか?」(深堀り)
・相槌のタイミングと強さ(共感)
・時には砕けたツッコミも重要(緊張と緩和)
など、ただ聞くのではなく、大切なのはアジェンダの消化よりも話し手に、自分が話したことを通して相手に”理解してもらった”と思える、多幸感や充足感を与えること。
それが本当の意味で「最後まで聞く」ということになるのかなと。
オンラインでのミーティングの場合、画面上は多くの人の顔が見えますが、実質的には、皆、1:多数の中で行われています。
ファシリテーションも「今このセンテンスでの話し手と聞き手は誰なのか」「会話の繋がりとして問題はないか」「冗長的な流れで集中力が途切れていないか」など、注意を払うべきことが増えてきました。
ただ、なんとなく集まって一斉に話しだしたりしないよう、指揮者/編集者としての素養がより求められてきています。
集まって話すこと自体が目的になりがちなミーティングですが、これらを踏まえ相手の気持ちを汲んであげることで例え5分の会話の中でもお互い充足感は得られるもの。
無理に頑張ってモテようとする必要もないですが、まずは、お互いがお互いの理解者であろうとする気持ちを持つことが大事なのかもしれません。
Comments