失ってこそ意識するもの
先日、千駄ヶ谷にある、暗闇のエンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」に参加してきた。
ダイアログ・イン・ザ・ダークとは
参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、何人かとグループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。
というもので、前々からラジオCM等で興味があったのもあり、縁あって参加する事に。
そこで自分が感じたのは、やはりいかに自分が日々の生活の中で視覚に頼り切っているかという事。
光の一切無い空間では、目を開いても瞑ってもまったく同じ世界で、「暗い=黒」という概念があるという事を改めて認識させられて、なんだかそこにホッとしてる自分がいるのが変な感覚。また、中は当然暗いので、足の裏や手の甲、周りの音や声を頼りに進んでいく事になる。普段あまり意識しない、近くに誰かがいるという安心感、また、部屋が広ければ広いほど感じる不安感。そこから翻って、人は視覚を頼りに全体を把握し自分の居場所を認識しているんだなと感じた。
自分の中でアレっと思ったのは、手探りで何か形を感じる際、暗闇の中でも目を瞑っていた事。視覚を遮るという意識が、目を開いても瞑っても同じ暗い世界でも働くというのが、なんとも滑稽だった。
また、参加したメンバーのほとんどが、初めて会った人だったのも良かったと思う。適度な緊張感の中、手で触れ、声を出す事でしかできないコミュニケーションは、人見知りがちの自分としては、なんとも不思議な感覚で「自分を変えるには、まずその環境に身を置くことから」を体感できた気がする。
自分から皮膚一枚向こう側がまったくわからない世界は、恐怖と好奇心の世界。今まで意識しなかった感覚や感触だけを頼りに、暗闇の不安や恐怖へ一歩ずつ進む。その過程は、何か新しい事に挑戦する時のマインドに似ているかもなーと思った。
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