Thursday, December 12, 2024
 

World IA Day(WIAD)2013に参加しました

WIAD20132/9に開催されたWorld IA Day(WIAD)2013に参加してきました。

World IA Day(WIAD)2013は、情報アーキテクチャのコミュニティのイベントで、今年で2回目。

情報アーキテクチャは、Webデザインのみならず、情報デザイン、UIデザインにおけるデザインの上流工程をさします。ユーザーを意図するゴールへ導くための全体の構造の設計や、各要素のラベルなど制作物全体を俯瞰で捉え、かつ細部への導線を構築するのが主なスキルです。

今回のテーマは“情報アーキテクチャの価値体系を探求・拡大する”という事でYahoo!知恵袋創立時の話や楽天市場におけるビックデータの扱いなどの例を皮切りに、最近評判のGunosyにおける情報提供の考え方、またパターン・ランゲージの取り組みなど、内容は多岐にわたっていて、自分は初めての参加でしたが、東大という場所がら、なかなかアカデミックな話も多く大変、有意義で刺激の多い会でした。
その中から、自分の印象に残ったキーワードをいくつかレビューしたいと思います。

ラベルを名詞から動詞へ

Yahoo!知恵袋の事例でしたが、Yahoo!知恵袋の場合、サービスの内容は、ざっくり言うとユーザー同士の交流のプラットフォームになります。1つの事柄がそのプラットフォームで時間経過と共に変化させていく過程がある中、そのトリガーとしてのラベルの付け方の工夫が目からウロコでした。

例えば、Yahoo!知恵袋の場合、あるユーザーが知りたい事柄(質問)が回答を得る事でその質問は解決済という状態に変化します。時間経過の概念を付与するトリガーとして「質問」「回答」というラベルではなく「質問する」「回答する」という動詞のラベルにする事でユーザーの行動モチベーションをあげ、その後の展開を想起させるのは良い工夫だなと思いました。

質問と回答というデータをセットして=知識とするだけなく、変化を付与する、その上で人のアクションのトリガーをどう置くかは、やはり重要ですね。モバイル展開の重要性、また市場を作る上で「まず量を集める」という発想も実にYahoo!的だなと思いました。※もちろん良い意味で。

協調フィルタリングの今後

ビックデータを扱う上でその中からいかにユーザー個々に有益な情報を提供するのか。その一つの方法として協調フィルタリングの開発をあげられていました。楽天のレコメンドもそうですし、Gunosyもその1つです。ユーザーの行動をデータ化(ログ解析)し、傾向と対策から最適な情報を抽出する。Amazonのレコメンドも広義にはその1つでしょう。

経済学的にも協調バイアスという概念があり、それらは人に強く行動を促します。ある種、持って当たり前な人の心理状態を突くプログラムなんだなと再認識しました。

お話の中で「情報への接し方でネットは能動的、既存メディアは受動的」というのがありました。自分もこの意見には賛成です。Webサイトもプル型の広告と言われて久しいですし、ネットにかぎらず昨今のインバウンドマーケティングの概念もこの一端をはらんでると思います。

ただあまりに情報が自分に最適化される事にもリスクがあるのではと自分も思いました。ソーシャルを介した情報入手が当たり前の中で、最適化が進む事で画一化された情報に最大公約数が集まるような状況は、個人的に「こわいなー」という印象が。まぁ、かなり飛躍した発想だとは思いますが。この辺のソリューションの今後の展望は追っかけていきたいですね。

キーワードを起点にナレッジの交換をするひとつの仕組み【パターン・ランゲージ】

パターン・ランゲージとは、言語化できない質感を表現する事を目的として、提唱されている一つの共通言語です。
実際にパターン・ランゲージで交流する学生さんの動画を拝見しましたが、どの学生さんも楽しそうでテーマに沿ったキーワードからインプットとアウトプットの循環も凄く健康的な印象でした。※自分もあんな学生生活が送りたかっ(ry

学生にかぎらず会社においてもレクリエーションとして取り入れる余地は十分あるでしょうし、なにより、会社の方がナレッジが個人に依存しがちだったりするので、定期的にこういう取り組みをして、個々の解釈でアーカイブしていくと良いかもですね。

実際の動画が下記にアップされているので、ご興味あればご参考ください。
パターンランゲージ 2010 @iTunes U

各セッションに言えるかもですが、やはり人間の多様性とそこから生まれては消えたり結合したりを細胞のようにくりかえす情報といかに向き合うかが大事なんでしょうね。データという無機質なものに括る前に人の多様性を受け入れ、どう取り組んでいくのか。今後も自分もディレクターとして業務でIA的な作業を行う中で、その辺に留意しながらやっていきたいなと思いました。

 

CSS Nite @Co-Edo, Vol.3 「マルチデバイス化を見据えたコンテンツ設計 基礎講座」に参加しました

CSS Nite @Co-Edo, Vol.3昨今はレスポンシブ・ウェブデザイン(RWD)にも関心が集まってきているかと思います。

既存のPCサイトの運用のみならず、iPhone、Androidなどのスマフォ端末、iPadなどのタブレット端末など、ユーザーの環境も様々です。

それぞれの機種も1年に何種類も製品が発表される中で、制作側としてどう対応すべきなのか、まだ個人的に「これ」といった指針が見えていない状況でした。
エンドユーザーの端末ありきで、それぞれの仕様をおいかけるスタンスでよいのか。それとも制作者の都合で端末を取捨選択して、フォーカスを狭めての運用でよいのか。

選択肢が無いわりに対応は迫られるという、あまり心理的によくない状況が続いている中で、今回のCSS Nite @Co-Edo, Vol.3 「マルチデバイス化を見据えたコンテンツ設計 基礎講座」は、個人的に一つの心構えとして得るものがありました。
ので、受講した感想などを少々。

ユーザーはコンテンツ重視

まずは『コンテンツ』の定義として講座内では、
利用者のタスク(欲求)の達成を補助するために必要とされる要素
と定義付けされていました。自分もほぼ同意見ですが、もう少し要素というよりは『集合体』というイメージの方が個人的にはしっくりきました。

商品購入の際のキッカケを見ても、自分の興味のあるブランドや情報ソースにオリジナルコンテンツがあるかが、購入のトリガーとなる事が多いのは実感できるかと思います。オンラインマガジンやブログを参考にする人も多く、ブログを読んで比較検討し、その商品を買うか決める事も最近では当たり前の事になっています。※一部のアルファブロガーの方々は、その辺の魅せ方も上手いですね。

また企業側からしてもオリジナルコンテンツを創る目的は「収益・ブランドロイヤリティ・リスク管理・市場拡大」などが挙げられます。他にも速報性やIR情報などで、プレミア感のあるコンテンツを提供している企業もありますね。

欲しい情報と知ってほしい情報の齟齬

ただ必ずしも利用者側が得たい情報と企業側が発したい情報がマッチングするとは限らないのは現場にいて強く感じる時が自分もあります。それぞれの思惑があり、コンテンツを通したコミュニケーションの中で双方にズレというか軋みが生じているという事なんでしょう。

またデバイスの面からもまだPC利用者が多いとはいえ、スマフォやタブレット端末をメインに使うユーザーが増えてきている事から、PCと違わず、もしくはそれぞれのデバイスに沿ったコンテンツ配信をするためのインフラ設計が求められているとの事でした。

CMSをインフラとしたコンテンツ配信設計

今回の講座ではCMSをベースとして、コンテンツの要素を細分化し、いかに様々なデバイスに対応していくかを考える会でした。
そのために見た目上のUIを考える前に、各情報の要素を分析(棚卸し)して最小の単位を定義し効果的に配置・読み込ませるを目的とした設計は、過去にあったセマンティックなマークアップにも近い印象を受けました。

要素を細分化する事で、応用の効くコンテンツ(デザイン)が用意でき、新機種のデバイスが出ても対応できるインフラを設計する事。
少々IA的な面もあるかと思いますが、もう少し人間的というか、「いかにそれぞれのデバイスで要点を的確に伝えるか」が肝といったところでしょうか。

ちょっと大きめの現実的な課題

自分も過去にプレスリリースの更新業務に携わった事がありましたが、大抵、プレスリリースの文章等はその企業の営業か製品規格の人がwordに画像を貼り付けてスタッフに「更新しといてー」と投げてくるケースが多いのではないのでしょうか。企業にもよりますがコンテンツ設計に手を加えられる機会は、限られている上にまさにリリースの言葉通り「投げて」終わりという面がまだ強いと思います。

その辺の啓蒙と情報提供側の意識として「誰に何をどう伝えて何を得たいのか」を一歩深く考えて工夫するだけでも大事な事でしょう。

個人的には、このままモバイルファーストが当たり前になった時に、提供側の運用面において混乱が生じるor見なかったことにするなんて事がないように、いまのうちから少しずつCMSのみならず既存のマークアップにおいても意識していきたいなと思った会でした。

 

第30回WebSig会議に参加しての感想と自分が考えるWebディレクターのスキルセット

第30回WebSig会議「Webディレクターの過去・現在・未来~これから求められるスキルセット・マインドセット」を聴講してきましたので、雑感など。

Webディレクターというテーマは、Web業界にとって、なかなか扱いにくいテーマなのは、わりと知られています。

大きい理由は「Webディレクター」の定義が、個人や企業によってマチマチな事

おそらくですが、マークアップエンジニアや、Webデザイナーの場合、使うツールから(例えばマークアップならコーディングのエディター、デザインならPhotoshopなど)定型的にイメージがしやすいというのがあると思います。
しかし、Webディレクターには現状、「ディレクターだからこのツールを使う」というのは具体的にはありません。ディレクションに特化したツールより、「これを使ってディレクションしてる」という程度にとどまります。

そのため、外堀がボンヤリしているのが、端からみて「Webディレクターってどんな仕事?」という印象を生んでいる要因の1つなのかもしれません。

今回のWebSig会議のテーマは、スキルセット・マインドセットという事もあり、その辺が定義される事を(あの場だけでも)個人的に期待しておりました。

印象に残った点

名村晋治さんの「業界特化のディレクションについて」、内山和幸さんの「自社サービスのディレクションについて」、谷口正人さんの「キャリアパスについて」といったところ。
それぞれに自分のWebディレクションのブラッシュアップに良いキーワードをもらえたので、今後より突き詰めていければなと思いました。

特に業界特化のディレクションについては、長年疑問があって「1つの業界に特化してしまうと、クライアントの競合からの引き合いを避けられるのでは?」というのがあったので、また機会があれば、その辺りのやりくりについて伺ってみたいもの。

あと、谷口さんセッションはWebSigではありえないほど「オッパイ」の単語は連発されていましたが、
個人的に『真面目にバカをやってお金を儲ける』って、凄いスキルだと思うんですよね。
それが許されるキャラクター作りって、それなりの計算とコミュニケーション力と時間が必要だと思うので、『自分がWebディレクターとしてどういうポジションにいたいのか』を考える大事さを再認識できました。オッパイはアレですが。

なので登壇の内容としては、登壇の方々のケースを通しての「サイトディレクション時のマインドセット」が主だった内容でした。
正直、少しバラバラな印象があったので、最後の登壇者全員でのディスカッションは、試みとしては面白かったですね。
ただ、もう少し、登壇者同士のクロストークが噛みあうともっとよかったかも。

自分が考えるWebディレクターのスキルセット

前述に触れましたが、まだWebディレクターって「このツールが使えないとダメ」っていうのが定義されていません。
でも、「これができないとディレクションできないよね」っていうのはあります。

自分が思うWebディレクターにとって必要なスキルは、

  • 「誰が、何を、いつまでに、どうする」をドキュメントに落とし込める能力
  • クライアントのリテラシーに合わせた「ストーリー」を語れる能力
  • 「できます」「できません」ではなく「○○したらできます」「○○していただければ、こういうふうにもできます」と仮定を立て、想定される解が語れる能力
  • 常に自分で判断し提案の是非を確認する能力
  • スタッフ間の共有に抜けがない様、エビデンスに残し、周知するアーカイブ力
  • 絶対に期日に間に合わせる(期日いっぱいまで使う)先読み力。

正直、挙げたらキリがないですし、マインドセットとスキルセットはディレクターの場合はどうしてもグラデーションにならざるを得ない部分があります。
逆を言えば、上記を満たせればツールはパワポでもbacklogでもサイボウズでもなんでも良いと思います。
それをベースに個々の環境や案件によって、チューニングしていくしか方法は無いかなと。
ITILなど、プロジェクマネージメントに通じる資格もありますが、持ってなくてもなれてしまうのがディレクターの諸刃なところかもしれません。

セミナー内でもディレクターがプロジェクマネージャーやWebマスター、プロデューサーと混同されている部分がありました。
それだけ分かりづらいという事なんですよね。
自分は「プロジェティスタ」という肩書きを名乗っていますが、個人的にはプロジェクトが完遂さえすれば、
肩書きは”対チーム(スタッフ)に関しては”なんでもよいと思います。(対外的には必要でしょう)
ただ、本質は「職能をたらしめるスキルが大事」というのも見逃せない点だと思います。

今回、Webディレクターをテーマにしたセミナーに参加して、逆説的に「Webディレクター」の立ち回りの幅の限界と可能性を知れたと思います。
今後もこういった機会が増えていく事で、フワフワとしたディレクターのコアの概念が共有されていけば、
より業界全体のスキル向上にも繋がっていくと感じました。

-それにしても#websigの盛り上がり方はすごかったですね。
興味のある方は以下からどうぞ。

http://togetter.com/li/325924

-本記事を下記ブログでご紹介いただきました。
ありがとうございます!

■OL男子の4コマ書評
WebSig感想メモとオッパイ

■家入明子のメルヘン黒革の手帳
第30回WebSig会議に参加してきたよ!その2~会議当日です~

 

著作権法改正案から学ぶ、デジタルでビジネスをする事の戒め

6月15日の衆議院本会議で、違法ダウンロードに関する著作権法改正案が可決されました。

また同案では、映画などのDVDをコピーする「リッピング」も違法行為として規制する内容が盛り込まれています。
ですが、CDのリッピング=iTunesへの取り込み変換は、現状規制対象に含まれにくいと考えられています。
※リッピングが規制の対象になるのは、「特定の変換」を要する場合のため。
コピーコントロールCD(CCCD)を無理やりリッピングするのは違法にあたる。

既得権益の確保のため、法で規制を行うという行為は過去に何度もあった事ですし大人の都合もあるでしょう。
CDのリッピング自体はセーフの様ですが、その既得権益のフォーカスに提供側とユーザー側とで乖離がある様に感じます。

CDが売れない時代

自分が思春期の頃は小室ファミリー全盛期の頃で、それこそオリコンチャート1位はミリオンセラーを連発。
B’zが何曲連続初登場一位や、いわゆるJ-POPのブームでたくさんのCDが売れました。
自分も多分に漏れずCDは買って聴くのが当たり前でしたので、電気グルーヴのアルバムから
メロコアやスカコアのインディーズまで幅広く買ったものです。(※個人の趣向です)

しかし最近はご存知の通りCDが売れません。

もちろんAKBやK-POPなど一部のコンテンツは売れているかもしれませんが、
握手券やツアー無料ご招待などCD自体よりオマケがあってこそという印象を個人的に感じています。
大物アーティストでも初回限定版など差別化を計ったり豪華なライナーノーツをつけるなど工夫が必要の様。
「売れてナンボ」と言ってしまえばそれまでですが、釈然としない何かを感じます。

どこで利益を得るか。

「CD」を売るには多くの人の手が必要です。
曲を書いたアーティスト自身から、CDショップ、CD自体を作る工場、プロモーション、レコード会社などです。
1枚のCDの中に著作権使用料、原盤印税、アーティスト印税など様々な利権があります。
そのため、最も取り分の大きいレコード会社は「CD」というメディア自体を売りたいと考えます。

しかし、iTunes以降のユーザーの思考はCDを買うというより、
よりコンテンツに寄った「曲を買う」という認識に変わりつつあります。
ユーザーの多くがCD自体を買わずレンタルCDに流動しているのは当然で、
安く目当ての曲が聞ければ良いというのは自然な流れでしょう。

音楽業界自体の収入経路が現状のママであり続ける限り、今の現状は変わらないと思います。
今後CDは一部のマニア向けの商品となり、オマケをメインとした物販が主力になると個人的は予想しています。

物量換算が通じない時代

今は音楽業界の話ですが、Web業界においても同じ事が言えるかもしれません。

Webは幸か不幸かメディアを介して媒介するものではありません。
公開時にユーザーが、そのサイト観るために専用の回線業者やサーバーと契約をする必要もないです。
しかし、見積もりの出し方を1つとってみても、紙の概念がつきまとう場合、1ファイルいくらという換算をしがちです。

Webのリテラシーが低いクライアント等との場合は共通認識を持たせるために必要な概念だとは思いますが、
本来、デジタル商品を扱うものとして、実態の無いデータに物量換算をする事は「気のせい」という枠を抜けれないのではと思います。
紙やCDなら1枚いくらという価値換算が通りますが、1つのWebサービス・サイトを内訳で物量換算するのは、完成されたプロダクトのパーツをバラ売りするのと同じです。

理想論、1ファイルいくらではなく「そのコンテンツ一式おいくら」というのが、デジタル(Web)の見積もりのあるべき形なのでしょう。

今回の法改正は、対岸の火事ではなく、Web業界にとっても「デジタルの世界でのビジネス」について考える良いきっかけになったと思います。
CDというメディアからの既得権益は、今後いっそう得られにくくなるでしょう。流入の経路が変わるという事は、そこにあった利益の水路も断たれるという事です。

ユーザーはよりコンテンツへ、本質への要求が強くなり、ダイレクトにアプローチできる経路へと移っていきます。
既得権益の少ないWebを扱うものとして、そういったニーズに応えられるコンテンツを提供していける様、精進していきたいものです。

 

Webサイトの『評価軸』としてのUX

突然ですが、アナタはWebサイトの良し悪しをどこで決めていますか?

見た目(デザイン)でしょうか?
ソースを読んで、そのプログラミングのロジックでしょうか?
それともページを表示するまでのスピードでしょうか?

仕事としてのWebデザインの良い悪いは「クライアントの要件を満たしたもの」と
定義できるかもしれませんが、ユーザーに取っての「良いWebサイト」を測る時、
制作側はどこに気をつけるべきでしょう?

広告としてのWeb

広告業界には、様々な任意の団体があり、それぞれに応じた広告の賞があります。
経産省が主導のものから、どこ?って団体まで、その様式はさまざまです。
「広告を評価する」こと自体は、その活動自体の啓蒙もあるでしょうし、
業界全体の活性化を狙っての事もあるでしょうから、それをどうこう言うつもりはありません。
いわゆる「ハクがつく」という側面をあるので、それを目途に頑張っている若手クリエイターもいますしね。

ただ、そのいわゆる広告の良し悪しを決める基準と、Webサイトの良し悪しを決める基準を
十把一絡げにしてしまう事には違和感を感じます。
広告を意図したキャンペーンサイトもありますし、
バイラル&フリークエンシーを意図したサイトもあるでしょう。

それでも、ビジュアル的な評価に終始してしまっているものや、大企業における経済効果からの判断など、
どうも、それを観たユーザー(消費者)の事が置き去りになっている印象を受ける事が多いの事実です。
※評価はそれぞれだと思うので、すべての賞がそうだとは思いませんが。

誰がためのWebサイトなのか

個人的な認識ですが、Webサイトは”クライアントのもの”ではないと考えています。
もちろん広義には、そうなのですが、
本来Webサイトは“クライアントの要件を満たすためのツール”でなければいけません。
要件自体は、個々のクライアントによって様々だとは思います。
ただ、Webサイトを評価する際は、『その手前とその先』を見据えていなければいけません。
全てのWebサイトとは、『クライアントの意図するユーザーの持っているニーズに応える』という使命を
持っているという事です。

ユーザーのニーズに応えるという事は、そのサイトからユーザーが何を得られるのかが主になります。
何かしらの購買を考えているユーザーなら、Amazonなどネットショッピングができるサイトが。
ある企業の情報が欲しいユーザーにとっては、一般的な企業サイト、IRサイトなどがそうでしょう。

良し悪しの基準はそれぞれ

つまり、『良いサイト』の基準は、個々のユーザー自身が決める事であり、そのサイトからのUXに寄与します。
その要素として、デザインや、プログラミングの質、速度なども加味されるのが本質なのだと思います。

制作側として留意すべきは、どれか1つの要素だけで評価を下すのではなく、
あくまで基準は「ユーザーのニーズに応えるべくものになっているのか」でしょう。

UXを基準とした上で「このサイトは良い悪い」を唱える声が今後増え、
本来あるべき「Webサイトに対する評価」が、業界内外から、
もっと浸透すれば、見た目や技術のひとりよがりならない、より質の良いサイトが今後増えてくる事でしょう。