2/9に開催されたWorld IA Day(WIAD)2013に参加してきました。
World IA Day(WIAD)2013は、情報アーキテクチャのコミュニティのイベントで、今年で2回目。
情報アーキテクチャは、Webデザインのみならず、情報デザイン、UIデザインにおけるデザインの上流工程をさします。ユーザーを意図するゴールへ導くための全体の構造の設計や、各要素のラベルなど制作物全体を俯瞰で捉え、かつ細部への導線を構築するのが主なスキルです。
今回のテーマは“情報アーキテクチャの価値体系を探求・拡大する”という事でYahoo!知恵袋創立時の話や楽天市場におけるビックデータの扱いなどの例を皮切りに、最近評判のGunosyにおける情報提供の考え方、またパターン・ランゲージの取り組みなど、内容は多岐にわたっていて、自分は初めての参加でしたが、東大という場所がら、なかなかアカデミックな話も多く大変、有意義で刺激の多い会でした。
その中から、自分の印象に残ったキーワードをいくつかレビューしたいと思います。
ラベルを名詞から動詞へ
Yahoo!知恵袋の事例でしたが、Yahoo!知恵袋の場合、サービスの内容は、ざっくり言うとユーザー同士の交流のプラットフォームになります。1つの事柄がそのプラットフォームで時間経過と共に変化させていく過程がある中、そのトリガーとしてのラベルの付け方の工夫が目からウロコでした。
例えば、Yahoo!知恵袋の場合、あるユーザーが知りたい事柄(質問)が回答を得る事でその質問は解決済という状態に変化します。時間経過の概念を付与するトリガーとして「質問」「回答」というラベルではなく「質問する」「回答する」という動詞のラベルにする事でユーザーの行動モチベーションをあげ、その後の展開を想起させるのは良い工夫だなと思いました。
質問と回答というデータをセットして=知識とするだけなく、変化を付与する、その上で人のアクションのトリガーをどう置くかは、やはり重要ですね。モバイル展開の重要性、また市場を作る上で「まず量を集める」という発想も実にYahoo!的だなと思いました。※もちろん良い意味で。
協調フィルタリングの今後
ビックデータを扱う上でその中からいかにユーザー個々に有益な情報を提供するのか。その一つの方法として協調フィルタリングの開発をあげられていました。楽天のレコメンドもそうですし、Gunosyもその1つです。ユーザーの行動をデータ化(ログ解析)し、傾向と対策から最適な情報を抽出する。Amazonのレコメンドも広義にはその1つでしょう。
経済学的にも協調バイアスという概念があり、それらは人に強く行動を促します。ある種、持って当たり前な人の心理状態を突くプログラムなんだなと再認識しました。
お話の中で「情報への接し方でネットは能動的、既存メディアは受動的」というのがありました。自分もこの意見には賛成です。Webサイトもプル型の広告と言われて久しいですし、ネットにかぎらず昨今のインバウンドマーケティングの概念もこの一端をはらんでると思います。
ただあまりに情報が自分に最適化される事にもリスクがあるのではと自分も思いました。ソーシャルを介した情報入手が当たり前の中で、最適化が進む事で画一化された情報に最大公約数が集まるような状況は、個人的に「こわいなー」という印象が。まぁ、かなり飛躍した発想だとは思いますが。この辺のソリューションの今後の展望は追っかけていきたいですね。
キーワードを起点にナレッジの交換をするひとつの仕組み【パターン・ランゲージ】
パターン・ランゲージとは、言語化できない質感を表現する事を目的として、提唱されている一つの共通言語です。
実際にパターン・ランゲージで交流する学生さんの動画を拝見しましたが、どの学生さんも楽しそうでテーマに沿ったキーワードからインプットとアウトプットの循環も凄く健康的な印象でした。※自分もあんな学生生活が送りたかっ(ry
学生にかぎらず会社においてもレクリエーションとして取り入れる余地は十分あるでしょうし、なにより、会社の方がナレッジが個人に依存しがちだったりするので、定期的にこういう取り組みをして、個々の解釈でアーカイブしていくと良いかもですね。
実際の動画が下記にアップされているので、ご興味あればご参考ください。
パターンランゲージ 2010 @iTunes U
各セッションに言えるかもですが、やはり人間の多様性とそこから生まれては消えたり結合したりを細胞のようにくりかえす情報といかに向き合うかが大事なんでしょうね。データという無機質なものに括る前に人の多様性を受け入れ、どう取り組んでいくのか。今後も自分もディレクターとして業務でIA的な作業を行う中で、その辺に留意しながらやっていきたいなと思いました。